リカバリフレーズとは？必要な理由は？

暗号通貨ウォレットは、暗号通貨やNFTを保管・管理したり、Web3アプリ (またはDApps) にアクセスしたりするための機能を提供します。これらのウォレット、ないしウォレット内の資産は、しばしばさまざまな種類の詐欺や盗難のターゲットとなります。また、これらのウォレットへのアクセスを管理する中央集権的な機関も存在しません。分散型台帳は、取引とIDを検証するためにブロックチェーン内の全員の同意を必要とします。このような理由から、アクセス管理には、より強固な別の本人確認方法が必要とされます。

すべてのウォレットでは、日々のアクセスに標準的なユーザー名とパスワードの組み合わせを使用します。しかし、パスワードの紛失、ウォレットの盗難、資産のインポート、ウォレット間の同期などを行う場合には、パスワードを超える何か、あるいは多要素認証が必要になります。

このような場合に通常使用するのが「リカバリフレーズ」です。

この記事では、リカバリフレーズの定義、使用する理由とタイミング、そして保管方法のベストプラクティスなどについて説明します。

リカバリフレーズとは？

リカバリフレーズ (または「シードフレーズ」) とは基本的に、ウォレットの秘密鍵 (ウォレットへのアクセスを認証し暗号化するために使用する、一意かつ秘密のパスコード) を人が読める形式に変換したものです。このフレーズを使用することで、ユーザーは取引に署名したり、ウォレットアドレスの所有権を表明したりすることができます。また、ウォレットの紛失や破損 (ハードウェアウォレットの場合)、ウォレットにアクセスするためのデバイスが紛失、盗難、またはアクセス不能になった場合にもウォレットを復元することができます。

このフレーズは、アカウント設定時に一度だけ表示され、それ以降は確認することができません。そのため、必ず書き留めたり、スクリーンショットを撮ったり、パスワードマネージャに追加したりなど、何らかの方法で安全に保管する必要があります。

リカバリフレーズは通常、暗号通貨ウォレットがランダムに生成する12〜24個の単語のリストで、特定の順序で表示されます。

注:

リカバリフレーズの単語の順序は重要です。使用するときは、表示されたときと同じ正確な順序で入力する必要があります。
フレーズはアカウントの設定中に一度だけ表示され、二度と表示されません。ウォレットの設定を終了する前にすぐに書き留めるようにしましょう。

ウォレットでリカバリフレーズが必要な理由は？

リカバリフレーズは、従来のパスワードと比較していくつかの利点があります。

ユーザーではなく、ウォレットアプリによって生成されるため、パスワードを再利用することがない。
ランダムなパスワードであるため、強力なコンピューターでも解読が困難。
ウォレットの製造元やホスト企業には記録されないため、ハッキングの危険性が基本的にゼロ。

しかし、このような利点がある一方で、大きなリスクもあります。リカバリフレーズは復元できないため、フレーズを忘れてしまうと、ウォレット (とそこに保存されているすべての資産) に永久にアクセスできなくなってしまいます。

ほとんどのユーザーは、パスワードをきちんと設定することができていません。多くの人が非常にシンプルなパスワード (例: Mypasswordなど) を使用したり、アプリ間でパスワードを再利用したり、同じパスワードを微妙に変えたり (例: Mypassword、Mypassword_1など) して引き続き使用しているのです。一度パスワードが破られると、ハッカーはユーザーのデバイス上の他のすべてのアプリに簡単にアクセスできるようになるため、ユーザーは常に危険にさらされているといえます。

この対策として、暗号通貨ウォレットは、トランザクションの署名やウォレットアドレスの所有権の表明、ウォレットの紛失や破損 (ハードウェアウォレットの場合)、ウォレットへのアクセスに使用するデバイスの紛失、盗難、その他のアクセス不能な事態 (ソフトウェアウォレットの場合) に対応するため、ユーザーに固有のリカバリフレーズをランダムに生成し、提供しています。これらのリカバリフレーズは完全にランダムであるため解読はほぼ不可能です。

パスワード (標準的なリセットフローでリセット可能) とは異なり、リカバリフレーズは復元することができません。つまり、ウォレットを作成する際に与えられたリカバリフレーズを紛失すると、永久にウォレットから締め出されてしまうのです。ウォレットの作成元企業でもこれを復元できず、技術的にもサーバーに保存されていないため、閲覧すらできなくなります。

注: リカバリフレーズは必ず安全な場所に保存し、いつでもアクセスできるようにしてください。

リカバリフレーズの保管方法は？

リカバリフレーズは、保管方法にかかわらず次の2点を考慮する必要があります。

他の人に決して見られないこと。
いつでもアクセスできる場所にあること。

リカバリフレーズを紙に書き留めて、貸金庫に保管する人もいます。また、1Passwordのようなパスワードマネージャーを使ったり、極端な例としては金属片に刻み込んで埋めたりする人もいます。どの方法を選ぶにせよ、上記の2つの原則を確認し、他人に見られないこと、およびいつでもアクセス可能な信頼できる場所に保管することを徹底してください。

まとめ

リカバリフレーズは、あなたとあなたが所有するウォレット、そしてその中の暗号資産を損失や盗難から保護します。従来のパスワードよりもはるかに安全であり、ほぼすべての暗号通貨ウォレットで使用されています (Web3 DAppsでも使用されています)。しかし、その主な利点であるクラッキングや盗難に対する耐性は、フレーズを紛失したユーザーにとって大きな頭痛の種となる可能性もあります。

リカバリフレーズについて最も重要なポイントを、最後にもう一度おさらいしておきましょう。