Braveが個人のメールアドレスをWebサイトから守る済む新機能、メールエイリアスを提供開始
この記事は Braveのプライバシー機能に関する連載シリーズの第39回です。本記事では、Pavel Beloborodov(シニアソフトウェアエンジニア)、Tarik Demirović(シニア自動化・インフラエンジニア)、Harold Spencer Jr.(シニアスタッフエンジニア)、Agustín Ruiz(DesignOps リード)による取り組みを紹介します。また、Arthur Edelstein(元 Brave シニアリサーチ・プライバシーエンジニア)にも貢献いただいています。執筆は Shivan Kaul Sahib(プライバシー&セキュリティVP)が担当しました。
本日リリースのデスクトップ版1.94より、Braveブラウザはメールエイリアス機能を提供開始しました。この機能を使用すると、個人のメールアドレスを明かすことなくオンラインサービスのユーザー登録が可能になります。メールエイリアスは、メインの受信トレイに転送するユニークなメールアドレスを自動生成することで、迷惑メールを防ぎ、プライバシーの保護に役立ちます。
メールアドレスがトラッキングに利用される仕組み
メールアドレスは、変わることのない普遍的な識別子です。Webサイトに提供したメールアドレスは、あなたのWeb上での行動を追跡するために利用される可能性があります。Google、Meta、LinkedInなどの広告テック企業は、企業がメールアドレスをアップロードして自社のユーザープロファイルと照合する方法を公式に提供しています。Braveはサイトに埋め込まれたMeta Pixelのようなサードパーティートラッカーに対して業界最高水準の保護を提供していますが、サーバーサイドマッチングなどの手法を通じて、依然としてデータが共有される可能性があります。
例えば、amazingshoes.com でトレイルランニングシューズを購入しようとしたとき、サインアップの際にメールアドレスの入力を求められたとします。受注確認メールの送信先として必要なため、これ自体は不審なことではありません。しかし amazingshoes.com はMetaの広告も利用しているため、あなたのメールアドレスを受け取ると同時に、Metaのサーバーサイドのオーディエンスマッチングツールにそのアドレスをアップロードします。Metaはそのメールアドレスを、数年前に作成されたFacebookアカウントとしてすでに保有しています。両者が一致した結果、Metaはあなたが高額なトレイルランニングシューズを購入したことを把握できてしまうのです。この処理はサーバーサイドで行われるため、ブラウザを通じるトラフィックは一切発生せず、ページ上のトラッカーをブロックしても防ぐことはできません。
さらに深刻なのは、収集したデータの保護レベルがWebサイトによって大きく異なる点です。登録したWebサイトが不正アクセスを受けた場合、あなたの情報が流出し、データブローカーに渡る可能性もあります。一度流出したメールアドレスは、本来信頼していた企業の手を離れて広く出回り、その後何年にもわたってフィッシング詐欺に悪用されることもあります。
こうしたプライバシーの穴を塞ぐために開発したのが、メールエイリアス機能です。メールエイリアスはBraveに直接統合されているため、Webサイトのサインアップフォームからプライバシーを保護するメールアドレスをその場で生成できます。生成されたエイリアスはあなたの本来のメインアドレスに転送され、実際のアドレスはWebサイトに明かされることがありません。これにより、サイトをまたいだトラッキングの連鎖を断ち切ることができます。また、エイリアスはいつでも無効化して新しいものを作成できるため、迷惑メール対策としても効果的です。
Braveはすでに、Webサイトがブラウザ内に保存できる情報を隔離しています。Cookie、キャッシュ、ネットワーク状態はサイトごとに分離されているため、あるサイトで保存されたトラッカーの情報を別のサイトでの識別に利用することはできません。しかし、この分離はブラウザの境界までにとどまります。二つの企業がそれぞれのサーバー上で情報を突き合わせることまでは防げないのです。メールエイリアスは、この分離の仕組みをブラウザの外側にまで拡張します。
メールエイリアスの使い方
Braveアカウントの作成
メールエイリアスを作成するには、まずメールアドレスとパスワードでBraveアカウントを作成する必要があります。このアカウントは、Brave VPNなどの一部サービスのサブスクリプション管理に使うBrave Premiumアカウントとは別のものです。
- brave://settings/email-aliases にアクセスし、「Braveアカウントにログインするか、作成する」の右側の「始める」をクリック
- メールアドレスと強力なパスワードを設定
- 画面の指示に従ってメールアドレスを認証
Webサイトでのエイリアス作成
Braveアカウントにログインした状態で、任意のWebサイトのメール入力欄をクリックするだけでエイリアスを作成できます。
右クリック(コンテキストメニュー)
「新しいエイリアス」のヒントが表示されない場合は、メール入力欄を右クリックして「新しいエイリアス」を選択することで手動で作成できます。
エイリアスの管理
作成したエイリアスはすべて、設定 > 自動入力とパスワード > メールエイリアス から管理できます(brave://settings/email-aliases に直接アクセスすることも可能です)。
メールエイリアス機能にBraveアカウントが必要な理由
メールエイリアスは内部的にBraveアカウントを利用しています。Braveアカウントは、メールアドレスとパスワードでBraveにサインインする新しい仕組みです。メールエイリアス機能は、Braveアカウントに登録されたメールアドレスをメインアドレスとして扱い、エイリアス宛に届いたメールをすべてそのアドレスに転送します。
Braveアカウントは、最近標準化された暗号化プロトコルであるOPAQUEを採用しているため、パスワードがBraveのサーバーに送信されることはありません。Braveアカウントの詳細については、こちらのブログ記事をご覧ください。
メールエイリアスを使うとBraveはどんな情報を見ることができますか?
Braveはすべての取り組みにおいて、ユーザーのプライバシー保護を最優先に考えます。メールエイリアスにサインアップすると、Braveアカウントに登録されたメールアドレスと、生成されたエイリアスを安全に保存します。すべてのデータは保存時に暗号化されます。エイリアス宛に届いたメールはメインアドレスに転送されます。
Braveはエイリアス宛メールの内容を読むことはありません。信頼できるメールプロバイダーとしての品質を維持するために、標準的なスパムおよびウイルスフィルタリングの処理のみを行います。メールが配信されると、サーバー上のデータは数秒以内に削除されます。
エイリアスにメモを追加した場合(例:「SendMomFlowers.com用の使い捨てアカウント」)、そのメモはお使いのデバイスにのみ保存されます。同期を有効にすると、同じ同期チェーン上のデバイス間でメモがエンドツーエンドで暗号化されます(Braveからも内容を確認できない状態になります)。メモの復号・閲覧ができるのはご本人のみです。
詳細については、プライバシーポリシーのメールエイリアスに関するセクション、およびサポートページをご覧ください。
メールエイリアスの今後について
初回リリースでは、すべてのユーザーに5つの無料エイリアスを提供します。メール転送サービスの運営には継続的なコストが伴うため、機能の使われ方に関するフィードバックを収集しながら、まずは小規模での提供からスタートします。モバイル版への対応も鋭意開発中であり、将来的にはPremiumバージョンの提供も予定しています。
この段階では、Braveが転送したメールが迷惑メールフォルダに入ることがあります。これはメールプロバイダーとしての評価スコアを積み上げている途中であるためです。その場合は「迷惑メールではない」としてマークしてください。これにより、今後のメールが正しく届くようになり、送信者としての評価向上にもつながります。迷惑メールへの振り分けが多すぎると感じた場合は、日本語のユーザーサポート窓口(jpsupport@brave.com)までぜひご連絡ください。