Android版Brave、完全リビルドによりパフォーマンスが全面的に向上: バッテリー消費が5%、データ通信量とCPU使用率が3%の節約

現在、Braveのアクティブユーザー数は月間で1,350万人、一日当たり430万人となっています

このブログで紹介しているパフォーマンス評価試験は、Braveのパフォーマンス・リサーチャーのMatteo Varvello博士によって実施されたものです。

Android用の新しいBraveアプリ(バージョン1.5.120)は、数か月かけて完全にリビルドされました。現在、Google Playストアからダウンロードしていただけます。新バージョンのベースは、デスクトップバージョンと同じChromiumリポジトリを使用しています。コードベースを一つにしたので、デスクトップとモバイル両方への機能の実装や不具合の解消の実装がしやすくなりました。これによって、今後Android向けの拡張機能のサポートなどができるようになります。

 

アプリの新バージョンではユーザーインターフェイスの変更はなかったのでユーザーにとってはシームレスな更新でした。一方、パフォーマンスは、以前のバージョン(1.5.9)に比べて改善しています。たとえばバッテリー消費は5%減少し、CPU使用率とデータ通信量は3%軽減されました。Braveはすでに、他の主要ブラウザと比較してリソースの節約を実現しています(Chrome、Firefox、Operaなどと比較して、データ通信とバッテリー消費の削減が30%-50%[1])ので、今回はさらに節約が上乗せされたことになります。そのため、このAndroid向けBraveアプリは、最近Greenspectorにてパフォーマンス上トップブラウザ[5]、とされたDuckDuckGo、Vivaldi、Firefox Preciew のパフォーマンスを上回りました。

 

Braveにとってブラウザのパフォーマンスは何よりも重要です。そのため、Braveは、モバイルデバイスのCI バッテリテスト (など) が実施できる初のソリューションを開発しました。新しいバージョンが開発されるたびに、過去のバージョンと比較するテストを実施し、パフォーマンス低下がないことを保証しています。このソリューションはBattery Lab(https://batterylab.dev/ [3])上にあるもので、Battery Labはロンドンのインペリアルカレッジとノースウェスタン大学と共同で実現したバッテリー測定用の分散プラットフォームです。

 

ここからは、新しいBraveアプリ (バージョン1.5.120)と、古いコードベースで構築した以前のアプリ(バージョン1.5.9)を比較した結果について詳しくご紹介したいと思います。このテストでは各ブラウザに、上位10社のニュースサイト[4]を 順次読み込ませます。また、各ページで上下に何度もスクロールさせることで、ユーザーの単純なウェブブラウジング動作をシミュレーションしました。また、今回の実験結果は、北米の高速WiFiでサムスンGalaxy J3 (OS:アンドロイド9.0、CPU:クアッドコア1.4 GHz Cortex-A53、メモリ:2GB LPDDR3、バッテリー:2,600mAh)を使用して得られたものとなります。

 

以下の図は、それぞれCPU、エネルギー、データ通信量の結果を比較したものです。棒グラフは5 回試行の平均値です。エラーバーは標準偏差を示しています。この結果をみると、新しいコードベースを使用した新バージョンで、大幅なパフォーマンス向上ができていることがわかります。例えば、CPU使用率の軽減が3%、バッテリー消費の削減が5%、データ通信量の削減が驚きの18%です。そして重要なことは、すでにBraveが他の主要なブラウザに比べて実現しているリソース節約[1]に今回の節約が上乗せされている、ということです。

 

ただ、バージョン 1.5.120のデータ通信量の削減のうち大部分がhttps://www.sfgate.com/の読み込みによるものでした。このサイトのデータ通信量は平均19 MB (バージョン 1.5.9) から 13.5MB (バージョン 1.5.120) に減少しています。これはBraveの動画自動再生処理方法がにおけるアーティファクト(ゆがみ)によるもので、、古いコードベースと新しいコードベースで異なるは動きが違うために発生しています。データ通信量の削減効果をより正確に把握するために、今度はAlexaのトップ1,000のウェブサイト[9]を読み込ませて比較しました。結果、それぞれのデータ通信量は1.67 GB (1.5.9) と 1.62 GB (1.5.120)となり、データ通信量の削減率は現実的な3%となりました。なお、本結果は、Alexaのトップ1,000リストから不適切なコンテンツを除いた717のウェブサイトを使用したものとなっています。

次に、Greenspectorにて2020年のパフォーマンス上トップとされた3ブラウザ[5](DuckDuckGo[6]、Vivaldi [7]、Firefox Preview [8])と比較しました。Vivaldi とFirefox Previewと比べた場合、Braveの方がバッテリー消費、データ通信量、CPU使用率が大幅に節約(30-50%)されています。一方、DuckDuckGoとの差はより小さいですが、Braveのほうが、CPU使用率の軽減(例えば、以下にあるように、累積分布関数の中央値ベースでは5%の削減となっています)と、データ通信量の削減(28MB対32 MB、つまり約10%)が実現されていますし、バッテリー消費はわずかですが改善しています。

Braveのデータ通信量が DuckDuckGoに比べかなり少ない状況を詳しく把握にするために、URL別にそれぞれのデータ通信量をグラフにしました。Braveの方が10のウェブサイトのうち8つのサイトで通信量を削減できています。しかし削減の大部分は、https://www.sfgate.com/で起きていて、先述したように動画自動再生に関する処理によって生じたものです。DuckDuckGoがBraveよりデータ通信量が少ないサイトは、10サイトのうち1サイト(https://cnet.co 、平均200 KB)のみでした。

参照

  1. /brave-one-dot-zero-performance-methodology-and-results/
  2. https://batterylab.dev/
  3. https://dl.acm.org/doi/10.1145/3365609.3365852
  4. https://github.com/brave-experiments/browser-comparison-toolkit/blob/master/scenarios/fullset.txt
  5. https://greenspector.com/en/what-are-the-best-web-browsers-to-use-in-2020/
  6. https://duckduckgo.com/
  7. https://vivaldi.com/
  8. https://play.google.com/store/apps/details?id=org.mozilla.fenix&hl=en_US

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