Nouns DAOとBrave: 透明性と分散型コラボレーションに挑戦するWeb3コミュニティ同士の連動

分散型自律組織（DAO）による有料広告枠の購入という斬新なオンチェーン取引を実現した異色のコラボレーション

執筆：Braveアカウントマネージャー Lukas Levert、Brave セールスシニアディレクター Clayton Hartford

2021年11月1日、Nouns DAOは米国向けのBraveブラウザの新タブページの広告画像を独占し、NFT（Non Fungible Token）のコレクターとクリエイターが集まる世界最大のイベント、NFT.NYCを開幕させました。この広告キャンペーンは、米国のBraveユーザを対象として行われました。Nouns DAOは分散型自律組織（DAO）であり特に、暗号資産、ガバナンス、知的財産権、NFT、慈善活動などが交わる実験の場となっています。ミッションは抽象的かもしれませんが、Nouns DAOの基本は不変です。

24時間ごとに1つのNounが半永久的にオークションにかけられます。
Nounは、人、場所、物をモチーフにした32x32ピクセルのキャラクターで、1点あたり232ETH（934,605USD）という高値でも取引されています。
Noun NFTは1日に1点のみ生成されます。
各オークションの収益はDAOの基金に入り、コミュニティによる提案とNounオーナーの投票に基づいて展開されます。
Nouns DAOの基金は、「子どもたちにメガネを贈る」「オープンソースの支援のために169ETH（75万米ドル）をGitcoinに寄付する」「新種のガラスガエルの種の命名権を購入する」「国際宇宙ステーションにNounを送る」などの事案に活用されています。

Nouns DAO Treasuryは、本稿執筆時点で現在16,133ETH（約65,152,536USD）を保有しています。

Nouns DAOの成功は、そのリーダーシップとコミュニティに起因しています。Nounsの舵取りをしているのは、4156やGremplinといったWeb3のパイオニアで、今日のCC0 “No Rights Reserved” 運動のリーダーたちです。この運動に参加するクリエイターは、世界中の作品に対するすべての権利を著作権法のもとに放棄し、作品をパブリックドメインとして捧げています。彼らの作品は、制限なく自由に機能向上、拡張、再利用することができます。

現在、Nouns DAOから独立したいくつもの営利目的のプロジェクトが、アートワーク、アパレル、ビデオゲームなど、さまざまなユースケースで有名なNounsのメガネを使用しています。派生作品に加えて、コミュニティのメンバーは、困っている子供たちに処方眼鏡を届けるプログラムに資金を提供しようとするProposal 12など、いくつかのチャリティー主導のプロジェクトを推進しています。

Brave + Nouns DAO

2021年10月初旬、プロジェクトの創設者の一人と簡単に話をした後、BraveはNouns DAO Discourseフォーラム（https://discourse.nouns.wtf/）にガバナンス案を提出するよう勧められました。Nouns DAO Discourseフォーラムは、正式なガバナンス提案の投票に先立ち、コミュニティの透明性のある議論や討論の場を提供しています。

Braveからの提案は、Brave Adsのスポンサードイメージ広告を使用して、Nounsコミュニティが作成したアートワークを掲載し、BraveユーザにNounsプロジェクトを紹介することでした。Brave Adsのスポンサードイメージ広告は、ユーザがBraveで新しいタブを開いたときにローテーションで表示される画像の中に、広告主の全ページ画像が表示されるものです。スポンサードイメージは、グローバル、またはBrave Adsがサポートする約200カ国から関心のある国を選択し、1日限定の広告として販売されます。スポンサードイメージは、Braveのデスクトップおよびモバイルの全ユーザが閲覧可能な独占的な広告であるため、ブランドはキャンペーンにおいて高い認知度とサイトトラフィックを獲得することができます。

提案に対するポジティブなフィードバックを受け、議論はNouns Discord Channelのスポンサードイメージの議論のために作られた専用のサブチャンネルで行われました。そこでは、Braveの広告販売チームのメンバーがNounsコミュニティのメンバーと協力し、コミュニティがアイデアやモックアップを提出する際にフィードバックとサポートを提供しました。DAOのメンバーの間で、数十のコンセプトが検討、議論されました。

グループがクリエイティブの方向性に合意した後、提案はNouns DAOの正式なガバナンス投票に進み、Nouns DAO TreasuryからのBrave Adsキャンペーンに対する支払いの賛否を決定しました。またこの提案では、Noundersと呼ばれるNounsの創設者の一人を代表者として指定し、4156というペンネームで広告枠に正式にサインをしました。Brave Adsの提案は25票で全会一致で可決され、Ethereum blockchainからキャンペーンのための資金を拠出するトランザクションの実行が行われました。

数日後、米国のBraveユーザは、新タブで、NFT.NYCがキックオフしたばかりのニューヨークをテーマにしたフレンドリーなNounsを目にしました。

キャンペーン後、BraveチームはDiscordチャンネルでNouns DAOに成功指標を共有し、コミュニティはTwitterを通じて結果をオープンにすることを決定しました。このキャンペーンでは、Braveのプライバシーを保護するキャンペーン指標で報告されているように、合計1220万回の広告インプレッション、141,646回のクリック、10秒以上のページへの訪問回数は71,027回となりました。Braveによって生み出されたトラフィックの結果として、Nouns DAOは、キャンペーンの日にページビュートラフィックが数百だったものが200,000ビューほど増加したことを確認しました。

Braveは、BraveユーザにNounsを紹介するというベネフィットに加え、キャンペーンのイーサリアム資金の70％を、スポンサー画像を閲覧したBrave Rewardsユーザに配布するベーシックアテンショントークン（BAT）の購入に充当しました。

Braveは、Brave Adsキャンペーンを正式に購入した最初のDAOとして、Nounsコミュニティからの協力と暖かい歓迎に感謝しています。Braveは、Braveのオープンソースおよびコミュニティ主導の理念に通じる、オープンで透明性のあるなDAOガバナンスプロセスを通じて、Nounsや他のDAOとの将来の関わりを楽しみにしています。